物件名 | : | Hillside House | |
所在地 | : | 東京都町田市 | |
主要用途 | : | 事務所(リノベーション) | |
発注者 | : | 学校法人正和学園 | |
用途地域 | : | 第一種中高層住居専用地域、第二種高度地区、準防火地域 | |
構造 | : | 木造 | |
階数 | : | 地上2階 | |
最高高さ | : | – | |
最高軒高 | : | – | |
前面道路 | : | – | |
敷地面積 | : | 96.320m2 | |
建築面積 | : | 29.810m2 | |
延床面積 | : | 59.620m2 | |
設計期間 | : | 2015年2月1日〜2015年5月18日 | |
工事期間 | : | 2015年5月19日〜2015年9月1日 | |
担当 | : | 中佐昭夫、須田牧子 | |
施工 | : | 大倉建築 | |
写真 | : | 矢野紀行 | |
築30年以上の小さな木造住宅を改装したオフィス。 周りは斜面を造成してつくられた古い住宅地で、四角い間取りを基調とした建物が、坂道に沿ってひな壇状に連なっている。この住宅地に隣接して、同じく斜面を生かしてつくられた町田自然幼稚園があり、今回はそのサテライトオフィスという位置付けになる。 改装にあたって、坂道に向かって両手を差し出すような帯状の曲面壁を敷地全体に設置した。曲面壁は、建物の外で始まっていったん建物の内に入り、また外に出ている。 曲面壁で囲んだ範囲の床は、屋外用デッキ材と屋内用ビニル織物床シートで仕上げているが、その切り替え位置を屋内のミーティングスペース奥まで入り込ませ、屋内外の要素を混在させている。屋内外を隔てる建具はできる限りガラス面が大きなものに交換した。四角を基調としない曲面壁と大きなガラス面によって、既存建物と敷地の領域を曖昧にしながら、開放性と独自の雰囲気を得られるようにしている。 曲面壁は対外的なサインボードも兼ねていて、その高さは坂道の上から見える天端が1.98mであり、徐々に下がって、坂道の下から見える天端が1.28mとなっている。坂道の上または下からアプローチしてくる場合のサインに対する視認性と、曲面壁で囲まれた空間の居心地を、壁の高さで調整している。 建築主の正和学園は、町田市を中心に複数の幼稚園や保育園を運営している。そのひとつである町田自然幼稚園は設立50年以上になるが、さまざまな施設整備や運営の適正化を行い、それが評判となって、十数年前に比べると園児数が3倍以上に増えている。もともと敷地が広いので敷地内にオフィスを追加することもできたが、あえて別の場所の方が良いとの判断があり、今回の計画がスタートした。 その意図は、待機児童増加・将来の少子化・行政による教育施策の方針転換など、子育てをめぐる様々な変化に対して客観的に検討する拠点を、独立した空間として確保することにある。園児たちも含めて大人数が行き交う現場の賑やかさから少し離れた方が、広報・事務・人事など学園運営に必要な外来対応に向いているし、在園児に限らない幅広い育児相談や地域活動にも対応できるようになる。 面積は小さくとも、このオフィスが新たな社会的接点となり、今後のネットワーク的な学園運営の中で、大きな役割を果たすのではないかと感じている -中佐昭夫- |