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しぜんの国保育園
(small village)

物件名 しぜんの国保育園(small village)
所在地 東京都町田市忠生2-5-3
主要用途 保育所
発注者 社会福祉法人東香会
用途地域 第一種中高層住居専用地域
構造 鉄骨造、一部鉄筋コンクリート造
階数 地上2階地下1階建て
最高高さ 12.826m
最高軒高 10.975m
前面道路 南側6.000m、西側6.000m
敷地面積 2432.630m2
建築面積 1236.600m2
延床面積 1398.800m2
設計期間 2012年4月20日〜2013年2月28日
工事期間 2013年3月1日〜2014年3月31日
担当 中佐昭夫、青木大輔
構造設計 草間徳朗/草間構造設計室
設備設計 遠藤和弘、杉山容子/EOS plus 、入口新吾/sia
プロデュース 齋藤紘良/しぜんの国保育園園長
施工 横沢建設
設計協力 コクヨファニチャー(ワークショップ運営・保育室家具)
モノクラフト(事務室・遊戯室家具・園児ロッカー)
セキユリヲ(インテリアコーディネート)
有田昌史(グラフィックデザイン)
Fly sound(グラフィックデザイン)
掲載 『DESIGNING SPACES for Early Childhood Development』 2018/2月出版 Images Publishing
『新建築』 2015/4月号 新建築社
『japan-architectsブログ』 japan-architects
受賞 2019年 Dedalo Minosse 2018/19(イタリア国際建築賞)Cultural Locations and Public Works
2015年 日本建築家協会優秀建築選
2014年 キッズデザイン賞受賞
2014年 GOOD DESIGN賞受賞
写真 矢野紀行、堀越圭晋/SS東京(2,13,24枚目)
ナフ・アーキテクト&デザイン(1,8,9,11,20,26,27,28,29,30,31枚目)
様々な世代や文化の人々が集まって交流できる、小さな村のような保育園。

敷地は前面道路から下ってゆく雑木林の斜面で、下った先に平場の園庭がある。その斜面に7つの建物と、長いスロープをつくった。スロープは山の遊歩道のようなカーブを描きながら建物同士をつなぎ、木々の間を通り抜け、緩やかな勾配で前面道路と園庭を結んでいる。

園庭側の建物には異年齢で様々な活動ができる保育室があり、前面道路側の建物には事務室や遊戯室がある。周辺に残る里山の自然・食育・芸術を取り入れながら、地域に開放されたバリアフリーな保育環境づくりを目指した。

子供が家庭で生まれ、地域の中で学び育つことを本来とするならば、保育園もそれを目指すのが自然ではないかと感じている。児童福祉法で定義される保育園は「保育に欠けるその乳児又は幼児を保育する」場所だが、女性の労働参加が促されるこれからの社会に、その定義を越えた枠組みの保育園(家庭の代わりとなり、老若男女が行き来し、教育・文化・地域交流がある場所)を、「small village」というコンセプトで提案した。

異年齢で様々な活動を行う3・4・5歳の保育室は、内部が「音楽」「ごっこ」「アトリエ」「ラボ」「建築」「図書」に区分されている。その活動内容を充実させるため、保育園の事務室をシェアオフィスとし、それぞれの活動に携わる専門家(芸術家)が保育園自体を拠点として使えるようにしている。

メインエントランスには、園児の父母や地域の住人が気軽に立ち寄れるコミュニティカフェを設け、その隣にある遊戯室をタウンホールとして地域に開放し、公民館のような使い方が出来るようにしている。什器や設備もそれを前提に選定・製作された。

保育園の周囲には里山(クヌギやコナラの雑木林)があり、園児が日頃から畑でとれた作物を加工して給食に使ったり、木の実で作品を作ったりしている。それらを受け継ぎ、建て替え後の保育に生かすため、園児と保育士を交えたワークショップが建て替え前の1年間で継続して行われた。その成果を、保育室での活動に対応した什器開発や、建物各部の仕上げ材選定に反映している。

里山の維持管理のためには、15〜25年程度の伐期に達した成熟林を伐採して、これにかわる幼齢林を仕立てる「更新」の手続きが必要とされている。今回の新園舎計画は35年前に建てられた旧園舎の老朽化に伴うものだが、その建設当時に植えられた樹木を含め、敷地内の育ち過ぎた樹林の「更新」を行った。伐採した樹木は保育園の本棚の材料として利用し、将来の樹林を仕立てるため、併行して園庭に築山が造成され、園児や近隣住民を交えた植樹祭が行われた。

保育園としての役割を終えた旧園舎は、新園舎のバックアップおよび里山管理の拠点として、これから利用する検討が進められている。里山の文化と自然を継承してゆくことで、地域と共にある保育園としての更なる成熟を目指している。

-中佐昭夫-

Name of the Project : Small Village
Location : Machida City, Tokyo
Category : nursery
Zoning use district : –
Fire protection specification : –
Structure : Steel construction
Number of stories : 1 floor under ground and 2 floors above ground
Maximum height : 12.826 m
Maximum eave height : 10.975 m
Frontal road : 6.00m on the sorth , 6.00m on the west
Site area : 2432.63 m2
Building area : 1236.60 m2
Total floor area : 1398.80 m2
Completion : March 31, 2014
Architect : Akio NAKASA(Principal Architect) , Daisuke AOKI
Photographer : Toshiyuki Yano

A small village-like nursery where people of different cultures and generations get together.

Seven buildings that stand on wooded hillside are connected by a long and gentle ramp running in a curve through trees giving access from frontal road above to flat yard at the bottom.

Nursery buildings for cross-age activities face the yard, and shared office, community cafe, town hall and playroom open to the community face the frontal road.

Wisdom of nature, food and art gained from neighboring village forest are part of its education that welcomes the community in barrier-free environment.

– Akio Nakasa –

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