物件名 | : | メイルマン・マイン クスノクス福岡店 | |
所在地 | : | 福岡市中央区天神1-11-11天神コア4階 | |
主要用途 | : | ウィッグ専門店 | |
発注者 | : | 株式会社クスノキ | |
延床面積 | : | 38.120m2 | |
設計期間 | : | -年-月-日〜-年-月-日 | |
工事期間 | : | -年-月-日〜2001年10月30日 | |
担当 | : | 中薗哲也、中佐昭夫 | |
構造設計 | : | – | |
設備設計 | : | – | |
掲載 | : | 『商店建築』 2002/7月号 商店建築社 | |
写真 | : | 大竹静市郎 | |
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「楠(クスノキ)の森をつくる」。我々に示された簡潔かつ含蓄のあるコンセプトを、顧客ニーズをふまえて店舗デザインに具現化するのは、容易ではなかったが魅力的な仕事だった。それがほとんど前例のない業態の店舗をつくることに他ならなかったからである。 店内には透き通った緑色のガラスパネルを数多く並べ、その隙間にウィッグや鏡、ポスターパネルを配置した。ガラスパネルは一定の間隔で整然と並んでいて、雑然と見えがちなウィッグのディスプレイをすっきり見せる。鏡はフィッティングに使うが、店内を映し込んで空間を拡張させる効果も持つ。ポスターパネルには店の情報に限らず様々な画像・アートを展示し、広島店では液晶モニタやプロジェクターを導入してその機能を強化した。また広島店では奥にイベントスペースを設け、例えば音楽の演奏会を開くことも出来るようにした。 (株)クスノキは大正13年からコツコツと技術を磨き、積み重ねてきた企業である。その誠意を表象する透き通った緑色と、ウィッグ、画像、映像、人の動き、それらが重なり合って密度を増しながら、お客に媚びるのではなく語りかけることを期待した。 ksnok’sはウィッグという商品の販売およびフィッティングのサービスを行う店舗であると同時に、(株)クスノキの企業理念や、それを支える地域的・文化的背景を伝える情報発信空間としての役割を担っている。そういう意味で一見シンプルでありながら実は非常に饒舌な空間である。それをお客にお仕着せるのではなく、直感的に受け止めてもらう仕掛けを追求した結果、透き通った緑色のガラスパネルがうねって立ち並び、扉もなく、意にまかせてさまようことのできる抽象的な「森」ができあがった。 (「商店建築」2002年7月号より) -中薗哲也、中佐昭夫-
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